ブリンケン国防長官とオースティン国防長官が来日し「2+2」が開催された。そこでは秘伝アジェンダの核シェアが淡々と締結された。日米のウクライナ戦争でアメリカとNATOに追随する日本をロシアが潜在敵国と定め日本海を中国の艦船とともに巡回威嚇をするようになり、とくに尖閣諸島にまでロシアの艦船が出没するようになったのが最近の情勢。さらにロシアの核の傘にはいった核武装国の北朝鮮も日本を「火の海にする」と威嚇する。今や日本は中国、ロシア、北朝鮮から核攻撃される可能性が高まっていろのである。アメリカの核の傘(拡大抑止)が3カ国に対して有効なのかー、これをエマニュエルドットは日本に核武装を薦める。日本の核武装は日米安保の範疇でやらねばならず、NATO型よりイギリス型の核シェアが望ましい。

日本の核武装の勧めはアメリカではケネスウォルツをはじめとする多くの論者がいる。(「核兵器の拡散」セーガン、ウォルツ著、川上監訳 参照)

以下、エマニュエル・ドットから抜粋
『第三次世界大戦はもう始まっている』

エマニュエル トッド

米国の“危うさ”は日本にとって最大のリスクアメリカの行動の“危うさ”や“不確かさ”は、同盟国日本にとっては最大のリスクで、不必要な戦争に巻き込まれる恐れがあります。実際、ウクライナ危機では、日本の国益に反する対ロシア制裁に巻き込まれています。 当面、日本の安全保障に日米同盟は不可欠だとしても、アメリカに頼りきってよいのか。アメリカの行動はどこまで信頼できるのか。こうした疑いを拭えない以上、日本は核を持つべきだと私は考えます。日本の核保有は、私が以前から提案してきたことで、今回の危機で考えを改めたわけではありませんが、現在その必要性は、さらに高まっているように見えます。 日本において「核」は非常にセンシティブな問題だということは承知しています。約30年前に初訪日した際、私が真っ先に訪れたのも広島でした。しかし、そもそも「核とは何か」を改めて冷静に考える必要があります。

核を持つとは国家として自律すること
核の保有は、私の母国フランスもそうであるように、攻撃的なナショナリズムの表明でも、パワーゲームのなかでの力の誇示でもありません。むしろパワーゲームの埒外にみずからを置くことを可能にするものです。「同盟」から抜け出し、真の「自律」を得るための手段なのです。 過去の歴史に範をとれば、日本の核保有は、鎖国によって「孤立・自律状態」にあった江戸時代に回帰するようなものです。その後の日本が攻撃的になったのは「孤立・自律状態」から抜け出し、欧米諸国を模倣して同盟関係や植民地獲得競争に参加したからです。 つまり核を持つことは、国家として“自律すること”です。核を持たないことは、他国の思惑やその時々の状況という“偶然に身を任せること”です。アメリカの行動が“危うさ”を抱えている以上、日本が核を持つことで、アメリカに対して自律することは、世界にとっても望ましいはずです。ウクライナ危機は、歴史的意味をもっています。第二次大戦後、今回のような「通常戦」は小国が行なうものでしたが、ロシアのような大国が「通常戦」を行なったからです。つまり、本来「通常戦」に歯止めをかける「核」であるはずなのに、むしろ「核」を保有することで「通常戦」が可能になに、むしろ「核」を保有することで「通常戦」が可能になる、という新たな事態が生じたのです。これを受けて、中国が同じような行動に出ないとも限りません。これが現在の日本を取り巻く状況なのです。 ですから日本には再軍備が必要となるでしょう。そしてもし完全な安全を確保したいのであれば、核兵器を保有するしかありません。 自律を選んで核兵器を保有するのか、あるいは偶然に身を任せるのか。偶然に委ねるというのも、ひとつの道ではあるかもしれません。日本は、地震など、いつ起きるかわからない災害という偶然とともに生きてきた国であるからです。しかし昨今のベネズエラに対するアメリカの行動ひとつとっても、こんな身勝手に振る舞う国に自国の運命を委ねてよいのか、と不安を感じざるを得ません

「核シェアリング」も「核の傘」も幻想にすぎないいま日本では「核シェアリング」が議論されていると聞いています。しかし、「核共有」という概念は完全にナンセンスです。「核の傘」も幻想です。使用すれば自国も核攻撃を受けるリスクのある核兵器は、原理的に他国のためには使えないからです。中国や北朝鮮にアメリカ本土を核攻撃できる能力があれば、アメリカが自国の核を使って日本を守ることは絶対にあり得ません。自国で核を保有するのか、しないのか。それ以外に選択肢はないのです。 ヒロシマとナガサキは、世界でアメリカだけが核保有国であった時期に起きた悲劇です。核の不均衡は、それ自体が不安定要因となります。中国に加えて北朝鮮も実質的に核保有国になるなかで、日本の核保有は、むしろ地域の安定化につながるでしょう。