6月28日のCNNによるトランプ対バイデンのテレビ討論会で、トランプの勝利が決定的となった。討論会が終わった瞬間、民主党では「絶望」「バイデンおろし」の声が噴出した。また、共和党内ではこれまでトランプを担ぐのをためらっていた議員たちが、こぞってトランプ支持に回りだした。しかも、バイデンに劣っていた選挙資金もここにきてトランプへの献金が断トツに増え始めた。

いよいよ「もしトラ」が本物の「トラ」となって帰ってくる準備を世界各国はスタートした。トランプ復活で何がかわるのか、第一がアメリカンファーストである。昨日のテレビ討論会でトランプはバイデンの外交政策が決定的に間違っていて、世界は第三次世界大戦に向かっていると論じた。ウクライナ戦争はバイデン政権は終結させるどころか火に油をそそぎ、ウクライナへの武器供給を再開し、しかもアメリカの武器で「ロシア国内を攻撃してよい」(一部であるが)と容認した、さらに率先して凍結しているロシア資産の3530億ドルの利子30億ドルをウクライナの復興費用にあげると宣言をした。

この状況はプーチンにとっては耐えがたき屈辱であり、レッドラインを越えようとしている。そのための報復措置として、プーチンはG7の最中にロシアは核搭載原子力潜水艦をアメリカと目と鼻の先のキューバに展開した。さらに、北朝鮮と同盟関係を結んだ。これで北朝鮮へロシアは堂々と核とミサイル技術を提供することになり、結果的に北朝鮮とロシアが核を使用するというブラフが現実味をおび、スタビリティインスタビリテイパラドックスが生じ、朝鮮半島は危機が高まった。

また、イスラエル対ハマス戦は民間人の犠牲者がうなぎ上りに増え、アメリカ国内では「ジェノサイドを行うイスラエルを支持するバイデン大統領」として全米の学生を中心としてベトナム戦争以来の反バイデン運動が起こっている。バイデン政権はなんとかネタニアフを説得したり和平交渉を懸命にしたりしているのであるが、なかなか結実しそうにない。トランプもイスラエル支持をしているのだが矛先は現役に向かう。しかも、ヨルダンのヒズボラとの紛争も勃発寸前である。

以上のような認識をトランプが持っているとすれば、確かに第三次世界大戦への道のりをバイデン大統領は築き上げたことになる。その遺産をトランプはどのように引き継ぐのか、継がないのか。トランプが仲のよいプーチン大統領との関係をとりもどせば、ウクライナ戦争は早期に収束するであろう。またロシアとの同盟関係にはいった北朝鮮の金正恩ともかつて38度線を手に手をとって超えた仲である。そのような「ドラステイックな変化」が起こるかどうかが「もしトラ」の見どころである。

問題は、その時の日本の総理は返り咲いたトランプ大統領に台頭にやっていけるのか。安倍総理はもういない。