ロシアの限定核戦争の可能性がじわじわと高まってきている。ロシアの核搭載可能な原子力潜水艦がキューバに寄港した。キューバからフロリダまでの距離は150kmしかなく米国の目と鼻の先にある。冷戦時期のキューバ危機の再来を彷彿されるような状況である。
ロシアはロシア国防省は6月11日、露海軍北方艦隊の原子力潜水艦とフリゲート艦が大西洋上で、敵艦隊への高精度ミサイル発射を想定した軍事演習を実施した。参加したのは核ミサイルが搭載可能な原潜「カザン」、極超音速ミサイル「ツィルコン」の搭載が可能なフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」など。600キロ・メートル離れた標的への攻撃を想定している。その後、これらの艦艇を12日にキューバに寄港させ17日までハバナに滞在させる。また、この期間は、G7サミットの開催期間に相当する。G7ではウクライナ支援とロシア政策につき合意をする。
それに対する、ロシアの牽制である。特に、アメリカやNATOがウクライナに対して、ロシアに到達可能な武器・ミサイルを供給することに対してロシアは過敏になっている。アメリカのウクライナへの武器支援は「ジャベリン」(対戦車ミサイル)、「スティンガー」(対空ミサイル)、「ハイマース」(ロケット砲)、M1エイブラムス戦車へと次第に強力さを増し、ウクライナにとって垂涎のF16戦闘機も準備中だ。特に、ロシアが過敏になっているのは、ロシアが自国領とするクリミアへ対するウクライナの攻撃である。ウクライナ軍はクリミアの飛行場攻撃、3か所の防空システムへの攻撃、さらに南東部の港湾都市ベルディヤンスクに対して、アメリカがウクライナに提供した長距離弾道ミサイル「ATACMS」を使っているからである。
ロシアは核使用を行うドクトリンを明確に、「通常兵器による侵略が行われ、国家存続の脅威にさらされた場合、核兵器による反撃を行う権利を留保している」としている。ロシアとキューバの軍事協力は米国を刺激しそうであり、米露の緊張は高まる。プーチン大統領は先に、米国などが提供した兵器を使ったウクライナ軍による露領内への攻撃に対し、「我々も軍事的圧力を受ける国に兵器を供与する権利はある」と述べている。
ロシアのウクライナ支援を行う米国を筆頭とする国々への限定核戦争の敷居がじわじわと下がっている。日本もロシアの攻撃の対象国の一つになっている。